ホーム > お知らせ > 2006年 > 化学事業部 四日市研究所がNICTとデンドリマーの工業的製造技術を共同開発

お知らせ

2006/02/13

化学事業部 四日市研究所がNICTとデンドリマーの工業的製造技術を共同開発

当社の化学事業部 四日市研究所と独立行政法人情報通信研究機構 (以下NICT URL: http://www.nict.go.jp/) は、プラスチックを応用した情報通信素子の作製に適した新素材として注目されている、高分子材料「デンドリマー」の工業的製造技術の共同研究を行い、エステル型デンドリマーの簡便で迅速、且つ安全な製造技術を確立しました。

■デンドリマーとは?
デンドリマーは、規則的に放射線状に分岐した骨格構造を持つ球状分子で、1984年に提唱されて以来、現在では分子センサー、触媒化学材料、プラスチックの改質剤、無溶媒塗料、有機ELディスプレイや色素増感太陽電池への応用などの一般工業分野だけでなく、バイオ試薬や癌治療薬などの医療分野などに応用され、今後もさまざまな分野への展開が期待されています。

■開発の背景
デンドリマーは、規則的に同じパターンの構造を繰り返して放射状に分岐した構造であり、その繰り返し単位を「世代」と呼びます。1つの世代は複数の反応を組み合わせて合成され、その世代の合成を繰り返すことによって合成されます。このように複数の反応を何度も繰り返して行なうために、1つ1つの反応が時間を要し煩雑であれば、デンドリマーの合成に長時間を要するだけでなくコストを押し上げる要因になっていました。このことがデンドリマーの展開を進める上で障害となっており、デンドリマーの工業的製造技術の確立が望まれていました。

■エステル型デンドリマー
伯東株式会社とNICTが工業的製造技術の確立に取り組んだデンドリマーはエステル型デンドリマーであるポリグリセロール-コハク酸デンドリマーで、従来から一般的なデンドリマーの合成方法として行われているダイバージェント法 (コアから段階的に反応を繰り返して分子量を増やしていくデンドリマーの製造方法) を用いています。このエステル型デンドリマーは中心のコア分子から段階的に保護基導入工程及び脱保護工程を繰り返すことにより、放射状に分岐を増やしていきますが、この際の反応条件や生成したデンドリマー及びその前駆体の精製方法を新たに開発する事で工業的製造技術の確立を達成しました。
具体的には、保護基導入工程では、従来は精製・分離に時間を要すると共に溶媒の使用量も多く、その処理にも手間を要する等の問題がありましたが、使用する触媒や溶媒及び反応条件を改良することにより、所要時間の半減、所要コストの半減を達成しました。一方、脱保護工程では、従来はパラジウム系触媒と高圧水素を用いて反応に約10時間も要する問題がありましたが、これを常圧下、約1.5時間で反応が終了する反応条件を開発したことにより、大幅な反応時間短縮を達成しただけでなく、特別な圧力容器を使用する事のないより安全性の高い製造方法を確立することに成功しました。
ポリグリセロール-コハク酸デンドリマーの世代 (繰り返し構造の数) は0世代から4世代まで任意に合成でき、分子量は0世代で266 (末端水酸基数4個)、4世代で10706 (末端水酸基数64個) の水溶性デンドリマーです。ポリグリセロールーコハク酸デンドリマーは末端に多くの水酸基を有するために目的に応じて種々の変性が可能であり、現在市販されているポリ (アミドアミン) やポリ (トリメチレンイミン) などのアミン系デンドリマーとは異なる構造と物性の違いを生かした適用が期待できます。例えば、NICTでは、デンドリマーの低粘度性と高反応性を利用したリソグラフィー技術によって通信用プラスチック素子の研究開発に取り組んでおり、リソグラフィー用先端材料として有望視しています。

■特長
一般的にデンドリマーは、既存の高分子には見られない特長を持っており、今後の新素材開発に大きく貢献する可能性を秘めています。
画像


(1) 単一分子量の高分子
(2) 分子量のわりに粘度が低い
(3) 非晶性
(4) 外殻に多数の反応点を持つ
(5) 外殻の化学修飾により可溶性の調整や
反応性の変化が可能
(6) コア及び外殻による機能性付与が可能
(7) 最外殻を親水性、内部を疎水性に
することで単分子ミセル形成が可能
(8) 高世代では球状の分子形態と見なせる
(9) 直径約10ナノメートル以下
(10) 内部に他分子や金属の包含が可能

来る2月21日~23日東京ビッグサイトで開催される国際ナノテクノロジー総合展・技術会議には、伯東株式会社とNICTはそれぞれのブースでパネル展示を行います。

お問合せ先
部署名: 化学事業部 四日市研究所 開発2G
Tel: 059-334-1200 (代) Fax: 059-334-1214
担当者: 竹辻

メールでのお問合せ